植木・盆栽の輸送、輸出 根洗いからの樹勢回復対策
2019年2月に日EU経済連携協定が発効され、盆栽・植木の輸出量拡大のチャンスがやってきました!
センチュウの持ち出し防止のため、2019年2月の時点でのEU検疫条件には、① 栽培土の除去
② 栽培土を洗い落とし、消毒した栽培土への植替え
③ 栽培土は必要最小限にし、適切な消毒の実施
いずれかの処置が必要とされています。(詳しくは農研機構 EU諸国向け輸出のための植木、盆栽および苗木の線虫対策マニュアル)
栽培土がない、根洗いした状態の植木は、デリケートですので、輸出先に到着後のクレームにつながるような生育低下を少しでも予防できるよう、対策をまとめました。
目次
対策1 根洗いした株の根の生育促進
対策2 輸送中の呼吸消費補給
対策1 根洗いした株の根の生育促進
対策2 輸送中の呼吸消費補給
対策1根洗いした株の根の生育促進
- 栽培土除去や根洗いによって弱った根っこの回復をうながすには、
サイトカイニンやジベレリンなど植物ホルモン様成分を豊富に含んでいる竹や海藻から抽出したエキスがお勧めです!
除去前に1回潅水(栽培中から定期的に散布もお勧めです)、除去してから潅水か、消毒した栽培土に含ませてください。
マツなど観葉の場合
たった一日でタケノコから1mも伸びてしまう竹から抽出した「竹のエキス」は、より栄養成長を促したい観葉用植木にお勧めです。栽培中は~5000倍希釈液を1週間おきていどで潅水または葉面散布、輸出直前は3000倍希釈液を根に潅水してください。
花木、果樹など
アミノ酸・微量要素が豊富なため光合成を促進できるケルパック66がお勧めです。普段は3000~5000倍希釈液を葉面散布または潅水、輸出直前は1000倍希釈液を根に潅水してください。
対策2 輸送中の呼吸消費補給
- 苗木への影響が激しい、根洗い・栽培土除去に注意が集中しがちですが、輸送中は断続的に日の光がさえぎられる可能性も高く、
呼吸による糖の消費量が光合成による糖の合成量を上回れば、植物体内の糖をどんどん消費してしまいます。
- そこで、糖蜜など糖を豊富に含んだ原料を納豆菌などの善玉菌で発酵させることで吸収しやすくした液肥がおすすめです。
含まれている菌の種類により、副次的に得られる効果が少し違うので、目的に合わせて選択してください。
1. 納豆菌いり「グルタン」
暑さ・寒さ・乾燥などにも耐える、繁殖力の強い納豆菌で糖蜜を発酵させた微生物資材です。葉面散布や潅水をすることで葉の表面や根の周りの微生物環境を整えることも期待できます。輸送直前に500倍希釈液を葉面散布または潅水(普段から使うときは、500~1000倍に希釈して2週おきに使用してください)
2. 発根促進に「B酵素」
複数の微生物により発酵させたB酵素には微生物由来の酵素や核酸、乳酸菌からの有機酸などが含まれているため、念入りに発根を促進したい場合にお勧めです。 2000倍で土壌散布または潅水(普段から使うときも同じ希釈で、7日おきにお使いください)最後に
検疫基準は品目や輸出先により異なります。また、改定されることもあります。紹介した資材は参考情報です。正確な情報は農水省や検疫所、農研機構などへお問い合わせの上、お客様各自にて最終判断してください。